中世ローテンブルグにおける
ユダヤ人の足跡


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ヤコブ教会
聖ヤコブ教会内のヘルリン祭壇の一部に示されている幼児イエスの割礼、1460年頃の作品
出典、ローテンブルグ帝国直属都市博物館
巨大建築物であるヤコブ教会は高名なトップラー市長がローテンブルグを統治していた時代に建てられました。1408年に殺害されることになるトップラー市長はユダヤ人共同体がローテンブルグに根付く事を切望していました。初期の市壁の北側にあった外堀を埋め立ててユダヤ人居住区が形成されたのはちょうどこの時代です。

ヤコブ教会の主祭壇上にある1466年作の12使徒祭壇の両扉にはイエス及び彼の両親であるヨゼフとマリアの生涯が描かれています。その中のひとつに司祭によって幼児のイエスが割礼をうける場面があります。それはイエスがユダヤ人であるという事実を認識させるには充分なもので、中世において識字率が低かった事を考えると多くの人にキリスト教徒とユダヤ教徒の関係を知らしめす好材料となりました。また祭壇背後の壮大なステンドグラスには数々のシーンを表現した1400年頃の作品が並んでいますが、その中に旧約聖書の一こま、マナの収集があります。その中でユダヤ人は独特のヘッドギアを被っているのがおわかりでしょう。この事からも当時のユダヤ教徒とキリスト教徒の間には友好的な関係が存在していた事が想像できます。また建物西方のギャラリー内にあるティルマンリーメンシュナイダー作の世界的に有名な祭壇では裏切り者であるユダの姿が目を引きます。彼は最後の晩餐のシーンにおいて唯一直立しているイエスの弟子として作品中央に配置されており、そのインパクトはイエスキリスト本人をも凌駕し主役であるかのようです。